ブログサービスにおける著作権や肖像権の扱い
ブログサービスにおける著作権や肖像権の扱い
もういい加減みんな賢くなろうや。
アメブロで著作権や肖像権を主張するのはお門違い - 永江一石のITマーケティング日記www.landerblue.co.jp
ツッコミどころ満載だが,とりあえず,ライターの逆ギレ云々についてはスルーする。これは著作権とかとは関係のない話。
元記事にもあるように,この件について Ameba 自体には落ち度はない(ライターはどうか知らないけど)。ブログサービスにおいてユーザの記事をサービス内の他の目的で「利用」することを許可させるのはどこもやってること。ていうか,そうしなければサービスが回らない。たとえばアメブロのユーザはランキングとか気にするみたいだけど,そうした仕組みはプロバイダ側がユーザの著作物を「利用」できるという前提がないと機能しない(日本には fair use はないからね)。
問題になるのは記事の「利用」に関して権利をサービス側に譲渡させようとする場合だ。これは初期のブログサービスでよく見られたもので,当然ながら大きな批判を呼び,現在はそのような規約を掲げるサービスはないはずである。(もしあれば大いに怒ってよい。権利を持っている licensor に対して licensee であるサービス・プロバイダが譲渡を要求するのはヤクザの仕事である)
件の Ameba の利用規約では(「第12条(知的財産権等)」より)
1. 本サービスを構成する文章、画像、プログラムその他一切の情報について発生している著作権その他の知的財産権、肖像権及びパブリシティ権その他の人格権な らびに所有権その他の財産権は、利用者が自ら作成したもの(第10条第2項に掲げる場合を除きます)に関する権利を除き、当社又は当該権利を有する第三者 に帰属しています。
2. 当社は、利用者が本サービスにおいて投稿、アップロード又は保存した全ての情報(文字情報、画像情報等を含みますがこれらに限られません)について、これ らを保存・蓄積した上、本サービスの円滑な運営、改善、当社又は本サービスの宣伝告知等(第三者のメディアへの掲載を通じた紹介記事・コンテンツ等も含ま れます。)を目的として、あらゆる態様で利用できるものとし、利用者はこれに同意するものとします。
とあり,「ユーザ自ら作成したもの」について権利を譲渡するなどの文言はない。要するに Ameba 側が作ったもの(プログラムや Web デザイン等)は Ameba のもの。それ以外はそれぞれの著作(権)者にあるという普通の内容である。
その上で, Ameba がユーザの著作物を「利用」する場合には事前に許可がなくても OK にするよ,と言っている。これもよくある文言である。
引用は「権利の制限」に相当し無断で行うことができる。ただしそのためには該当部分が引用であると明確にわかるようにする必要がある。少なくとも引用元を指示しないのは引用とは呼べない。(他にも色々作法があるが,ここでは割愛する)
注意する点があるとするなら,著作権の中でも「人格権」と呼ばれる部分である。人格権は著作者本人に帰属し,譲渡も放棄もさせられない。また,いわゆる肖像権(厳密には「パブリシティ権」。日本では肖像権全体について明確な規定がなく,パブリシティ権については「氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利」と定義されている。ちなみに非実在キャラやペットにはパブリシティ権は適用されない)についても人格権に近い扱いになる。
日本で著作者人格権と呼ばれる権利は以下の3つ。
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権
これらに抵触する「利用」であれば(相手がサービス・プロバイダやそのライターであっても)著作者は差し止めることができる。
たしかに「パクり」と呼ばれるものには悪意(evil)としか思えない酷いものがある。けれど,そもそも著作権法は「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」(第1条)ものであることをお忘れなく。「私のものは私のもの」と言うだけでは文化の発展には寄与しない。